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スマートウォッチが与えた高級時計市場への影響

ここ数年、シェアを拡大していっているスマートウォッチ産業。

発売された直後は、「スマートフォンがあるから必要無い」「機械式時計にはかなわない」と言われたものでしたが、 2017年にアップルウォッチが収益でロレックスを凌いだ―そんなセンセーショナルなニュースが走ったことによって、 時計業界にとってはよもや余裕をかましている場合ではなくなってきました。

腕時計型端末(ウェアラブルデバイス)の歴史は1980年代から始まりますが、現在のスマートフォンと連動できるスマートウォッチが開発されたのは2012年から。 さらにアップルウォッチが発売された2015年以降、爆発的に市場を拡大していっています。

通信機能だけでなく時計としても申し分なく使用できることから、クォーツ時計市場に肉薄していっていることに間違いはありません。

しかしながら、スマートウォッチが高級機械式時計を完全に圧迫しているとも言えません。 と言うのも、それぞれでターゲットとする顧客が異なり、棲み分けができているためです。例えばスマートウォッチの購入層は、 「20代~30代の若年層、コストパフォーマンスや機能性を重視している方、スマートフォンをより便利に使いたい方」。 対して機械式時計は「年齢35歳以上、ステータスを重視している方、社会的・情緒的価値を求めている方」をターゲットとして想定しているでしょう。

つまり、購入層を奪い合っているわけではない、ということを意味します。

ただ、やはり「ステータスシンボルと機能性を両立したい」というニーズは少なからず存在します。 「スマートウォッチが欲しいけど、あのいかにもガジェットな外装デザインがちょっと・・・」といった方もいらっしゃいます。

そこで近年では、タグホイヤーやウブロ、ブライトリングにルイヴィトンなど、「高級ブランド」と呼ばれるメーカーが、スマートウォッチ事業に参入するようになりました。

これが、かなり功を奏しています。時計メーカーだからできる「美しいデザイン」「防水性や耐久性などといった時計としてのスペックが高い」といった魅力が受けているのでしょう。

また、一方で、カジュアルブランドはスマートウォッチとの購入層の奪い合いが起きているという事実もあります。 上記で挙げた高級ブランドであれば別ですが、価格帯10万円以下のカジュアルブランドウォッチだとターゲットが被っており(若年層、コスパ重視など)、苦戦を強いられています。

実は、LVMHやリシュモングループなど、高級ブランドが中心となったコングロマリットはここ数年売上を伸ばしていますが、 プライスレンジが低いカジュアルブランドも少なくないスウォッチグループは、アップルウォッチが発売された2015年より、一時期成長が鈍化していました(2018年より復調傾向)。

もちろんスマートウォッチだけの影響ではありませんが、多くのブランドが対策を迫られていることは間違いありません。

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