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時計ビジネスの変遷

時計製造・販売に携わる業界人だけでなく、消費者にとっても今や時計はリアル店舗や百貨店だけではなく、eコマースに拠る部分が大きくなってきています。

リアル店舗を構えるよりも維持コストが低く抑えられるだけでなく、お店の近くに住んでいない消費者でも簡単にお目当ての商品を購入できることから、ここ15年ほどで目を見張るほど拡大してきました。 国内ではAmazonや楽天、Yahoo!ショッピングなどで買い物をしたことがない、という方は、じょじょに少数派になってきているでしょう。

「何十万円もする高級品をネットで買うなんて・・・」

eコマースにラグジュアリー産業が参入してきた当初はこんな風に囁かれていたものです。

eコマース事業の先駆けは、花卉業界(かき業界。フラワーショップなど)と言う話を聞いたことがありませんか?これは花という商材の性質上、 十分な商品画像がなくとも販売者と消費者側で信頼関係が成り立ちやすいことが所以です。でも、高級品となると話は違ってきます。

「実物を確認できない」ことは、売買においてかなり致命的であったためです。

しかし前述の通り、ここ数年で多くの高級ブランドがECでの売上高でブティックに肉薄しています。

撮影素子など飛躍的な技術向上により、 市販のカメラ(デジカメ、スマートフォン含む)で高画質な商品画像が撮れるようになったこと。 加えてSNSや口コミサイトの大規模化によって、そのお店の信頼度を図りやすくなったことが背景として挙げられるでしょう。

デジタルネイティブ(1970年代後半頃~の生まれを指す用語。学生時代からネットやパソコンに親しんできた世代)が高級品の購入層に加わったことも、この事象を加速しているように思います。

面白いデータがあります。

2019年、日本百貨店協会が発表した全国百貨店の年間売上高は約5兆7547億円と4年連続で6兆円割れ。一方、物販系BtoCのEC市場規模は2019年、9兆2,992億円となりました。

もちろんEC市場の方は日用品や食品も含むため、市場規模としては百貨店に比べて当然大きくなります。また、小売り最大となるスーパーやコンビニなどに比べればまだまだEC市場は後塵を拝しています。

しかしながら、百貨店売上高は年々減少しており、20年前の約2/3ほどの規模に縮小してしまったことに対し、EC市場の方はと言えば拡大の一途。2025年までに、現在の約1.4倍にまで拡大する、という予測があります。

ちなみに前述した日本大手ネット通販三社だけ見ても約6兆7000億円規模と、既に百貨店を凌駕してしまいました。 百貨店もeコマースに進出し始めており、今後ますます「売買のインターネット化」が進むことは一目瞭然ですね。

このインターネット化の波は、ラグジュアリー産業、そしてここに含まれる時計業界にも間違いなく進出しています。 しかしながら冒頭でもご紹介したように、インターネット化の拒絶が高級時計ブランドを中心に根強かったことも事実。 この風向きを変えたのが、新型コロナウイルスです。

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